複雑性PTSDってなに?

複雑性PTSDは、長い期間くり返されたつらい体験(虐待・DV・いじめ・ネグレクトなど)のあとに、フラッシュバックや感情のコントロールがむずかしくなる病気です。生活がつらくなったら、早めに相談してください。心理療法を続けることで、多くの方が回復に向かいます。

ふつうのPTSDの症状(フラッシュバック、回避、過覚醒)にくわえて、感情のコントロールがむずかしくなる、「自分はだめな人間だ」と感じる、人を信じることがこわくなる、といった症状があらわれます。

2022年から世界で使われている新しい病気の分類(ICD-11)で、はじめて正式な病名としてみとめられました。それほど多くの方が苦しんでいる状態です。

あなたが弱いからではありません。長期間にわたるつらい体験に対する、脳とこころの自然な反応です。適切な治療で改善が期待できます。

こんなことはありませんか?

つらい体験が終わったあとも、こんなことが続いていませんか。

  • 過去のつらい場面がとつぜん頭によみがえる
  • 思い出す場所や人をさけてしまう
  • つねにビクビクして気が休まらない
  • 感情があふれ出たり、逆にまったく感じなくなったりする
  • 「自分には価値がない」「自分は壊れている」と感じる
  • だれかを信じることがとてもこわい
  • 自分が自分でないような感覚がある(解離)
  • 心の中がからっぽで、ずっとむなしい

「消えてしまいたい」と思うことがある方へ:すぐに相談できるところがあります。
いのちの電話: 0120-783-556(毎日16時〜21時、毎月10日は8時〜翌8時)
よりそいホットライン: 0120-279-338(24時間)

※このリストは診断ではありません。気になるときはご相談ください。

どうして起こるの?

複雑性PTSDは、長い期間くり返される対人トラウマがきっかけで発症します。

脳の変化 — 恐怖を察知する扁桃体が過敏になり、理性的な判断を担う前頭前野のはたらきが弱まります。記憶を整理する海馬も小さくなり、過去の出来事が「今ここで起きている」ように感じてしまいます。さらに、自分を認識するネットワーク(デフォルトモードネットワーク)にも変化が生じ、「自分がだれかわからない」という感覚につながることがあります。

愛着形成への影響 — 幼少期に安心できる関係を築けなかった場合、人との距離のとり方や感情の調整が難しくなることがあります。これは性格の問題ではなく、発達の過程で生じた脳の適応反応です。

あなたのせいではありません。複雑性PTSDは、逃げられない状況の中で生きのびるために、脳とこころが適応した結果です。

どうやってよくなるの?

複雑性PTSDの治療は、あせらず段階的にすすめます。

  1. 安心できる場所をつくる
    まず、気もちを安定させることから始めます。お薬(SSRIなど)で不安やねむりの不調をやわらげます。感情のコントロール方法やグラウンディング(「今ここ」に意識を戻す方法)もお伝えします。
  2. つらい記憶を少しずつ整理する
    安定してきたら、専門の方法(持続エクスポージャー療法やEMDRなど)で、つらい記憶のいたみを少しずつ小さくしていきます。むりに思い出す必要はありません。準備ができてからすすめます。
  3. 自分らしい生活を取りもどす
    人とのつながりを少しずつ広げ、自分らしい暮らしを取りもどしていきます。あなたのペースで進めます。

複雑性PTSDの治療は、通常のPTSDよりも時間がかかることがあります。でも、段階を踏んですすめることで、着実に回復していけます。

銀座泰明クリニックの治療

銀座駅近くの心療内科・精神科で、専門医が診察します。当院の医師は全員が精神保健指定医・精神科専門医です。まずはお困りのことをお聞かせください。

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保険診療で受診できます。初診は約2,500〜3,000円、再診は約1,500円が目安です(3割負担の場合)。自立支援医療制度を利用すると、自己負担が1割に軽減されます。

監修医師: 茅野 分(銀座泰明クリニック院長 / 精神保健指定医・精神科専門医)

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