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精神医学

RNR原則(Risk-Need-Responsivity model)

RNR原則(Risk-Need-Responsivity model)は、再犯防止のためのリハビリテーション・介入戦略の中核理論であり、特に犯罪者処遇(とくに矯正・保護観察・更生支援)において科学的根拠に基づいた最も有力なアプローチとされています。


🔑 RNR原則とは?(概要)

項目内容
R:Risk(リスク原則)「誰に」どの程度の介入が必要か? → 再犯リスクの高い者に重点的介入
N:Need(ニーズ原則)「何に」介入すべきか? → 再犯と関連する犯罪的ニーズ(犯罪原因)に焦点を当てる
R:Responsivity(反応性原則)「どのように」介入すべきか? → 個々の特性に合った方法(認知行動療法中心)で対応する

🧠 1. Risk(リスク原則):介入の「強さ」を適切に

観点内容
📊 リスク評価再犯リスクの高低を科学的に評価(例:LSI-R、HCR-20などの評価尺度)
✅ 高リスク者には構造化された集中的プログラム(認知行動療法、集団療法など)を実施
⚠️ 低リスク者には過剰介入を避ける → 逆効果(レッテル化・逸脱強化)の危険性あり

🎯 重要点:再犯リスクの高い人ほど、資源を集中すべき!


🎯 2. Need(ニーズ原則):介入の「内容」に焦点を当てる

タイプ内容
🎯 クリミノジェニック・ニーズ(再犯と直接関連)犯罪的思考・反社会的仲間・物質使用・衝動性・怒り・職業スキルの欠如・家庭問題など
⛔ ノンクリミノジェニック・ニーズ(再犯とは無関係)趣味の有無・自己肯定感・服装など(これらへの介入は優先度が低い)

再犯リスクを構成する中核因子(8つの中央リスク因子)
(通称:「Central Eight」)

カテゴリ具体的因子
Big Four① 犯罪的態度/価値観、② 犯罪的仲間、③ 衝動性、④ 反社会的人格パターン
Moderate Four⑤ 家族関係の問題、⑥ 職業・教育上の問題、⑦ 余暇活動の欠如、⑧ 薬物・アルコール乱用

🧠 3. Responsivity(反応性原則):介入の「方法」を個人に合わせる

✅ 一般的反応性(General Responsivity)

  • 認知行動療法(CBT)が最も効果的とされる(問題思考の修正・技能訓練・感情調整)

✅ 個別的反応性(Specific Responsivity)

調整すべき要素具体例
発達特性ASD、ADHD、知的障害など → 視覚支援・構造化・反復学習などが必要
文化・言語・性別外国人受刑者、LGBTQ、女性加害者に特化した支援
動機付けの段階モチベーション低い場合 → MI(動機づけ面接)などを導入

🧩 RNR原則 × 実際の更生プログラム(例)

事例内容
🔁 性加害者プログラムR:高リスク者を重点的対象に
N:性衝動・認知の歪み・関係性スキルの強化
R:ASDや反社会性などに応じた方法で実施
🚫 DV加害者プログラムR:再発リスクが高いパターンを特定
N:支配的思考、怒り、関係性の歪みの修正
R:グループワーク・ロールプレイ中心
🚓 少年非行支援R:重大非行歴のある少年に重点介入
N:家庭機能不全、衝動性、仲間関係の再構築
R:教育的関わり+個別対応で柔軟に

📊 まとめ:RNR原則の臨床的意義

原則意義
Risk原則再犯しやすい人に、強く・丁寧に介入せよ(逆に低リスク者には軽度支援)
Need原則犯罪行動に直接つながる原因因子に絞って支援することが効果的
Responsivity原則本人に「届く」方法で、個性に合わせた支援を行うことが重要

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  • 🧠 3. Responsivity(反応性原則):介入の「方法」を個人に合わせる
    1. ✅ 一般的反応性(General Responsivity)
    2. ✅ 個別的反応性(Specific Responsivity)
  • 🧩 RNR原則 × 実際の更生プログラム(例)
  • 📊 まとめ:RNR原則の臨床的意義
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