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東京・銀座の心療内科・精神科・メンタルクリニック

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DV 加害者 更生 プログラム

準備・手続;会場・人員・教育、契約・時間・報酬、告知・広告・案内
初回面接;履歴(家族・生活)、犯歴(再犯を含む)、本人・配偶者から、時間・場所・方法、約束・遵守事項等
プログラム;12ー24-48回、暴力;力と支配、リスクアセスメント
A;Accident、B;Belief、C;Consequence、D;Decision、E;Effect
ストレスコーピング、コミュニケーション、ロールプレイ
振り返り;本人・配偶者より、変容・内省・洞察、子供への影響など(世代間伝達)
フォローアップ;経過観察、再発予防、再発対応

初回面接

主訴;最も困っていること
病歴;今回・過去のエピソード

家族歴;遺伝素因、両親、同胞、配偶者、こどもなど
生活歴;出身、学業成績、交友関係、学歴・職歴、職場適応など
既往歴;精神疾患・身体疾患、処方内容、喫煙・飲酒など

SOAP(Subjective. Objective. Assessment. Plan)にて記載します
Objectiveについて
•視覚的情報;容姿・服装・表情・態度など
•聴覚的情報;声の大きさ、言葉つかい、会話の反応など

待合室と診察室における様子の相違も重要です
加害者も困っており、過去は被害者だったことに想いを馳せます

リスク・アセスメント

静的リスク要因(不変)
  虐待被害、面前DV
  非行・犯罪・加害歴
  希死念慮、自殺企図
  薬物依存/精神疾患
  過去のDV(暴力的な言動)

動的リスク要因(可変)
  配偶者との関係
  居住・就労状況
  薬物依存/精神疾患
  認知・行動の歪み・暴力的な言動

静的リスク要因は受け容れ
動的リスク要因を変えていきましょう

精神疾患

精神疾患に罹患している場合は、当該治療を優先します
DV加害者となりやすい疾患は下記の通りです

•神経発達症(自閉症・ADHD)
 自閉症は他者の意思を想像することが困難、ADHDは衝動的です
•自己愛性パーソナリティ症
 誇大的で他者への共感性が不足しています
•双極症
 躁状態において易怒的になります
•統合失調症
 被害的な認知に陥りやすいです
•物質依存症
 薬物・アルコール酩酊下、現実現当識が低下します

プログラム

グループ全体の良好な雰囲気を保ちましょう
メンバー同士の会話を主とし、各々が自ら気づきを得られることが理想です
12-24-48回はプログラム次第ですが、長い方が当然効果的です
長く通う、途中で止めないためには、グループ・メンバーの凝集性が求められます
各々がお互いを尊重、共感することで、人間として成長することが理想です

チェックイン→ホームワーク発表→プログラム→ホームワーク設定→チェックアウト

プログラムが最も重要ですが、ホームワークも同等に重要です
プログラム後1-2週間、ホームワークに取り組むことで、気づきが高まります

心理的スキルを身につけることも大事ですが
それ以上に自分の生い立ちを振り返ることが大事です
加害者の多くは家族歴・生活歴に問題を生じていた方が大半です
それに気づき、同じ過ちを繰り返さないよう、学びを深めることが理想です

権力・支配;威嚇する、精神的暴力、孤立させる、矮小化・否認・責任転嫁、子どもを利用する、男性の特権を振りかざす、経済的暴力・強制・脅迫
平等;優しくする、尊敬・謙譲、信頼・支援、誠心誠意・説明責任、子どもへ責任をもつ、責任を分かち合う、経済的協力・相談・公平

暴力とは

暴力の本質は「支配」です、身体的にはもとより、精神的、経済的など多種多様です
暴力を振るいやすい「気質・性格」はありますが、本人が「選択」した行動と考えます
暴力は飲酒や薬物により引き起こされることもありますが「誘因」であり「原因」ではありません
暴力を続ける人は「否認・合理化・矮小化・責任転嫁」など「認知の歪み」を伴っています
暴力を振るう「認知の歪み」は「生い立ち;遺伝×環境」によると考えます
暴力の代わりに「対話」を基本とした「信頼関係」を再構築する必要もあります
暴力を止めても、一旦、崩壊した信頼関係の回復には時間と労力」を要します

アンガー・マネジメント

「6秒ルール」 とにかく6秒間、怒りを耐えましょう
その間に場所を移し、怒りの対象から離れましょう
時間・空間を離すことが必要です

深呼吸しながら、歩き回ることが有効です(禅・マインドフルネスのスキルです)
落ち着いたら、自分が何に怒っていたのか、振り返りましょう
書き出してみることも有効です(アンガー・ジャーナル)

相手が悪いのか、自分が悪いのか
変えられることか、変えられないことか、冷静に判断しましょう

相手が悪くても、自分が悪かったのかなと考えること
変えられないことは、素直に受け入れることが
円滑な人間関係を送るには重要です

ABC Model

A. Accident 出来事
B. Belief 信念・認知
C. Consequence 結果・感情・気持ち
D. Decision 決断・行動
E. Effect 影響

出来事に対し、信念・認知を変えることはできます、認知の歪みに気づきましょう
信念・認知を変えることにより、暴力以外の行動を選択できます
感情はなかなか変わりませんが、自覚することにより、暴力的な行動を回避できます
影響を考えることにより、暴力的な行動を回避できます

暴力的なセルフトーク

認知の種類説明具体例
1. 男性中心男尊女卑妻は夫に従うべきだ
2. 暴力の否認暴力したことを認めないちょっと手を挙げただけだ
3. 暴力の合理化暴力を正当化する俺を怒られせるようなことをした
4. 白黒思考極端な考え方をする俺たちはもう終わりだ
5. べき思考〜すべき、すべきではないと考える妻は○○すべきだ
6. 過剰な一般化ある出来事を一般化する先妻は浮気をした、現妻もするに違いない
7. 我慢できない我慢できないと決めつける妻の言動に我慢できない
8. 破局化最悪の結果を想定するもうおしまいだ
9. 論理の飛躍根拠なく被害的になる妻が俺を怒らせようとしている
10. 過剰な期待自分に合わせようとする俺の考えを分かるはずだ
11. 被害的被害的・他罰的になる妻が俺を怒らせた
12. 勝ち負け勝ち負け、正誤にこだわる妻の方が悪かった
13. 個人化自分自身へ関連づける俺に敵意を抱いている

信念・認知の検討

自分の信念・認知の由来を考えましょう
家族歴・生活歴を振り返り、文章・図表にまとめましょう

自分の信念・認知が遷延した理由を考えましょう
生活歴;学歴・職歴、人間関係などを振り返り、文章・図表にまとめましょう

感情を表現する言葉

怒り、混乱、不安、うつ、傷つき、悲しみ
喜び、感謝、安心、楽天、癒し、幸福感

子どもへの影響

子どもを虐待することなくても、子どもの見ているところでDVが行われると
子どもの脳とこころも大変に傷つき、成長・発達に支障を生じます
これを「面前DV」といい、子どもには虐待に匹敵する辛い体験となります
さらに子どもも将来DVを行う可能性が高まります
これを「世代間伝達」といいます
子どもにとって家庭はこころの「安全基地」です
家庭が安全でなければ、子どもは居場所を求め、家出するかもしれません 「夫婦関係が良好でなければ、子どもは健全に育たない」のです・・・

内的他者面接法

自分自身ではなく、相手が自分をどう思っているか、想像することで
自分自身を客観的に理解する方法です

以下の質問に対し、配偶者の気持ちになり回答してみましょう

夫についてDVの前後でどのように認識が変わりました?
夫のDVは具体的にどのような内容でしたか?
子どもたちに対しどのように考えていますか?
これからどうしましょうか・・・

回答は口頭・文書にて説明できるようにしましょう
配偶者の立場から自分自身を理解できるようにする作業です

説明責任

DV、暴力を犯した原因を冷静に内省し、被害者・配偶者へ与えた影響も想像
口頭・文書にて説明できるよう試みましょう

さらにプログラムなどを通じ気づいた再発防止対策
口頭・文書にて説明できるよう試みましょう

ただし最も重要なことは被害者・配偶者の安全・安心のため
被害者・配偶者の気持ちを尊重しましょう

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