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気分症群 (6A6-6A8)

非定型うつ病とは


過眠・過食、鉛様の麻痺 (体が鉛様に重く感じられる症状、leaden paralysis)、拒絶への過敏さを特徴とする病態です。典型的うつ病の場合、不眠、食欲不振、精神運動抑制を呈しますので、丁度、逆の様な状態です。

非定型うつ病は若い女性に多く、元々、敏感・繊細なご性格の方が多いため、ご本人は具合が悪いのに、周囲からはいつもの性格ではないかと軽視されてしまいがちです。時には、「怠けている」「甘えている」と誤解されることもありますので、改めて「病気」として認識が求められます。

「非定型うつ病」が正式に「病気」として認められるようになったのは、最近のことです。それもうつ病のサブカテゴリーとしての扱いであり、明確な診断基準が設けられているわけでもありません。双極Ⅱ型障害や境界性人格障害との合併や関連も指摘されており、実際のところかなりオーバーラップして診断・治療されているのではないかと考えられます。Soft bipolar spectrumに6-7割があてはまるという知見も得られており、「うつ病」というより「躁うつ病」としての見地から診断・治療がなされるべきでしょう。さらにパニック障害との合併も指摘されており、パニック障害自体も双極性障害との合併や前駆症状としての指摘がされていることを踏まえると、これらは若年の女性における不安・抑うつ症候群として考えるのが妥当なのかもしれません。

治療は、そもそもこの病気がアメリカにてMAO阻害薬という薬の効果ある一群として定義されたため、MAO阻害薬が効果的なのですが、日本では使用できません。それに代りSSRI, Serotonin Selective Reuptake Inhibitorが効果的と言われています。躁うつ病が合併している時は気分安定薬を、パニック障害が合併している時は抗不安薬を併用します。したがって、その時々の気分や病状をよく把握しながら薬物を選択します。

一方で、認知行動療法など精神療法も効果的です。非定型うつ病の特徴である、拒絶への過敏さがあり、他者の言動や環境の変化に敏感に反応する傾向があります。このため面接においてご本人の認知や行動を客観的にとらえ、現実的に適切な意思決定をしていくことを援助します。特に境界性人格障害をはじめ性格の問題を伴っている場合は一時的な対応にとどまらず、長期的な治療が求められます。時に幼少期や思春期からの親子関係や友人関係も振り返りながら、現在の対人関係・葛藤状況に焦点を当てた精神療法を行います。これらはすぐに解決する問題ではありませんが、治療者との信頼関係のもと、忍耐強く治療を継続していくことにより、少しずつ改善してまいりますので、諦めず取り組みましょう。

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