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精神疾患の重症度とは?


「精神疾患の重症度」はなかなか簡単には説明しがたいです。血液検査や画像所見で表わされるものではございませんから、診察した精神科医により診断も異なることがあります。これまで大事件を起こした犯人の精神鑑定も二転三転し、世間でも波紋を呼んできたわけです。それでも歴史的に世界中で一致した見解は概ねできております。

「鬱病」においては「軽症」「中等症」「重症」が下記のように定義されており、永らく変わることございません(DSM5改変)。

「軽症」 苦痛をもたらすが、なんとか対応できる程度、社会的・職業的な機能における軽度の障害をもたす、例えば、つらいけれど、我慢できる程度
「中等症」軽度と中等度の中間、例えば休職を要する程度
「重症」 非常に苦痛で手に負えない程度、社会的・職業的機能を著しく損なう、例えば入院を要する程度

「鬱病」でも「精神病症状を伴い」ますと無条件で「重症」に分類されます。すなわち自分の価値や能力などを不当に低く評価する「微小妄想」を生じます。全ての財産を失ってしまったという「貧困妄想」重大な罪を犯してしまったという「罪業妄想」不治の病に罹ってしまったという「心気妄想」などが挙げられます。

「躁病」では反対に自分の価値や能力を不当に高く評価する「誇大妄想」を生じます。自分は高貴な出自であるという「血統妄想」、有名人から愛されているという「恋愛妄想」世界的な発明をしたという「発明妄想」などが挙げられます。

「統合失調症」をはじめとした「精神病」はそれほど「重症」であり、たいてい「幻覚」「妄想」を生じ、「現実見当」(主観と現実を識別する能力 Reality Testing. Freud. 1911)を欠いている次元であると言えます。


「現実検討能力」は「病態水準」という治療概念において「自己同一性」「防衛機制」とともに「精神分析」において考えられました。上記同様「神経症」「境界例」「精神病」の三段階に分類されています。なお、精神分析は治療対象を主な神経症圏とし、境界例でさえも、治療困難でした。その治療風景はまさに「17歳のカルテ」に描かれていますのでご参照して下さいませ。

「17歳のカルテ」
(原題:Girl, Interrupted)は、1999年のアメリカ合衆国の伝記青春映画。2000年日本公開。原作1994年出版スザンナ・ケイセン自伝。日本語訳「思春期病棟の少女たち」(吉田利子訳/草思社1994年)。みずからも境界性パーソナリティ障害で精神科入院歴のあるウィノナ・ライダーは、精神科病棟を患者視点で赤裸々に描いた原作に惚れ込み、映画化権を買い取り、制作総指揮を買って出た。作品のテーマにおいて「カッコーの巣の上で」と比較されることが多いが、本作は原作がノンフィクションである点が異なっている。ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリーをはじめ、ブリタニー・マーフィやクレア・デュヴァルなど、若手演技派女優の競演も見所の一つである。
あらすじ:ある日突然、薬物大量服用による自殺未遂を起こし、精神科病院に収容されたスザンナ(ウィノナ・ライダー)。パーソナリティ障害という自覚なく、その環境に馴染めなかったスザンナだが、病棟のボス的存在であるリサ(アンジェリーナ・ジョリー)の、精神疾患であることを誇るかのような態度に魅かれていくうちに、精神科病院が自分の居場所と感じるようになっていく。しかし退院した患者の近親姦を喝破し、その患者を自殺に追い込むというリサの行動から、次第に彼女の行動に疑問を持つようになっていく。しかし、そのことでリサにうとんじられ、他の患者も全員リサに同調し、彼女は孤立する。やがてリサや他の患者との全面対決に至る。その出来事により、スザンナは「リサはここ(精神科病院)でしか生きられないから、これだけ強気な行動に出られるのだ」と気づき、自分は社会復帰を目指さなくてはならないと決意し、退院したところでは幕を閉じる。

「障害年金(精神の障害用)」における「病状および重症度」、「日常生活および社会生活の制限の程度」などについてご紹介しましょう。まず「精神障害」とは医学的な治療対象である「精神疾患」うちある一定期間を経過した精神や行動の異常を生じた病態を定義します。日本では「障害年金」を認定されるためには初診時から最低1年半を必要とされています。さらに上記のよう、ある程度の重症度を有した「精神病」水準であることも必要とされています。

「病状および重症度」とは「抑うつ状態」「躁状態」「幻覚妄想状態」「精神運動興奮および昏迷状態」「統合失調等残遺状態」およびその程度・症状・処方薬などです。「日常生活および社会生活の制限の程度」とは「日常生活状況」および「就労状況」ですが、特に判定において問われるのが、「日常生活能力」です。詳しくは「精神の障害に係る等級判定ガイドライン(国民年金・厚生年金)」をご参照くださいませ。

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