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精神医学

空想虚言

「空想虚言」という精神症状は、架空の事柄を真実であるかのように物語る症状です。虚言と追想錯誤とが混合し、誇大的な内容を語るうちに自分も他人もあざむいてしまうことが多く、犯罪学的に問題とされました。顕示性ないし発揚性の人格異常から妄想とみなしうるものまで含まれます。

Schneiderというドイツの精神医学者は「人格異常の中で、その異常性に自ら悩むか、社会を悩ますもの」と定義し、10類型しました(1923年)。そのうち、空想虚言を呈しやすい人格異常として顕示型と発揚型を紹介します。

顕示型:自分を実際以上にみせかけるもの、いわゆるヒステリー性格、演技性人格障害に相当します。嘘をついたり芝居をして、他人も自分もあざむくが、物質的な利益より役割そのものに意味があります。虚言者、欺瞞者、空想虚言、虚偽性障害、ミュンヒハウゼン症候群の一部が含まれます。自分をより以上にみせかける欲動は顕示欲です。

発揚型:快活で現実的、世話好きの楽天家。しかし周囲と摩擦を起こしやすく、すぐ和解するが、職を転々として意志不安定にみられることがある。(濱田秀伯先生、精神症候学、弘文堂より引用改変)

演技性人格障害とは、アメリカ精神医学会「精神障害の診断と統計の手引き」による定義によりますと、「過度に情緒的で、度を越して人の注意を引こうとする行動の広範な様式で、成人早期にはじまり、様々な状況で明らかになる」、以下の基準の5つ以上を満たすと疑われます。

① 自分が注目の的になっていない状況では楽しくない
② 他人との交流はしばしば不適切なほど性的に誘惑的または挑発的な行動により特徴づけられる
③ 浅薄で、すばやく変化する感情表出を示す
④ 自分へ関心を引くため、絶えず身体的外見を用いる
⑤ 過度に印象的だが、内容の詳細がない話し方をする
⑥ 自己演技化、芝居がかった態度、誇張した情緒表現
⑦ 被暗示的、つまり他人または環境の影響を受けやすい
⑧ 対人関係を実際以上に親密なものとみなす

このように空想虚言者は、派手な容姿で、人目を引く、目立つ人物を想像されますが、その内面では孤独感空虚感にさいなまされていることが少なくありません。虚ろな内面を補うために、必死で外面を飾り立てている、とも言えるでしょう。演技性の人格が形成される原因として、素因となる気質に加え、幼少期の親子関係や友人関係などにおける心的外傷(トラウマ)がその一つと考えられています。

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