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精神医学

子どもたちよ、これからどう生きるか


前回は小中高生が対峙する課題である「試験勉強のコツ」をご紹介しました。定期試験や資格試験は単純に「知識」を確認する試験が大半ですから、「反復練習」「繰り返し」「記憶する」ことで乗り切れるとお伝えしました。

しかし、最後に話題にしました「論文」「面接」は一筋縄で行かないでしょう。学校や会社は受検者の「人柄」「人格」を評価しますから、付焼刃や一夜漬などで身につくものではございません。受検者の年余に渡る生活や半生が評価されると言っても過言でないでしょう。

「書は人なり、文字は人となり」といいます。その方の書いた文章を拝読しますと、直筆なら尚更「人となり」が表れます。当院の問診表や心理検査も敢えて直筆で書いていただくことがございます。文字の大きさ・形・癖など「筆跡鑑定」と言うほどではございませんが、ある程度、その方の性格が投影されます。そして「書」「文章」に至れば、知性・教養・人間性さえも、うかがわれるものです。

従いまして、前回最後に記しましたように、思春期・青年期は「読書・映画(名作)」を鑑賞し、「感想文1200文字以上(読後・視聴後の感想の言語化・文字化)」を書くことを積極的にお勧めする次第です。人生経験を数多く経るに越したことはございません。現代のような豊かな日本社会において10代20代にて経験豊かな人生を経ることは少ないでしょう。

かつて、高度経済成長期を支えた政治家や経済人は戦後混乱の中、想像を絶するような苦労や困難を乗り越えていらっしゃいました。だから、先進国である現在の日本があるのです。「艱難 汝を玉にす(かんなん なんじを たまにす)」といいます。「人間は困難に直面し、苦しみ悩みを克服することにより精神的に成長する」「若い時の苦労は買ってでもせよ」という意味です。

翻って、現代社会は Computer & Internet, 携帯電話など、文明の機器により「苦労」「困難」をかなり回避できるようになりました。その反面、人々の「生活」「体験」「軽薄短小」になったと言わざるを得ません。文明の進歩により生活が便利になったことは良いですが、「簡便」「安直」に物事が得られることは果たして良いでしょうか。昨今、話題になった「新型うつ病」「現代型うつ病」という精神病理もこのような時代背景から生じたように思慮いたします。

さらに、1990年後半からのIT革命に端を発する情報産業の隆盛、一方で派遣労働法による労働者の二極化は、2000年を迎え日本社会の「一体感」「連帯感」を損なっていると危惧しております。「勝ち組」「負け組」「格差社会」という言葉も横行しました。この暗澹たる風潮を「2020年・東京オリンピック」にて打開できるかと望まれましたが、折しも「コロナウイルス感染症」により紆余曲折を経ました。

しかし、子どもたちへは、これからの人生へ「夢と希望」を抱き、日本・世界のため「社会貢献」していただきたいと願います。但し、念のため付言しますと、ITベンチャーや投資ファンド等にて、高利を得て、一時的に「成金」となったものの、気がつくと「バブル崩壊」「事業破綻」された方も少なくありません。その原因は種々挙げられるでしょうが、端的に申しますと「私利私欲」を追っていたからではないでしょうか。「奢れる者は久しからず」。従って、最も重要なことは「利他」「世のため人のため」に尽くすこと。余剰の利益を得たらば、恵まれない方、地域や社会へ還元することが必須と断言します。小生は医療・保健・福祉という、半ば「公共事業」に携わる者として、子どもたちへ、このことを伝えてまいる所存です。

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