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精神医学

受動攻撃行動

受動攻撃行動(Passive-Aggressive Behavior)は、一見すると従順・無害・協調的に見えながら、間接的・回避的に他者を困らせたり、怒らせたりする攻撃的行動です。これは直接的に怒りや不満を表現できない心理的葛藤の産物であり、対人関係において厄介な問題となることが多いです。


🔍 1. 受動攻撃行動とは?【定義と概要】

項目内容
💡 定義表面上は従順・協調的に見えながら、間接的な手段で他者を攻撃する行動様式
📚 由来「受動攻撃性(Passive Aggression)」は第二次世界大戦中の軍隊心理研究から導入された概念(1945年)
🤯 心理的構造怒り・不満・劣等感を直接表現できない(=抑圧・恐れ)ため、回避的・間接的に表出される

🧠 2. 心理的メカニズム

内面状態外在化される行動
怒っている/傷ついている「怒っていないふり」をして無言・遅延・嫌味で対応
自分に自信がない明確な拒絶を避け、「わざと忘れる」「手を抜く」などで対抗
相手に支配されたくない表向きは従うが、消極的な反抗で主導権を奪おうとする
衝突を恐れる攻撃性を「裏側」から表現することで衝突を回避(ように見せる)

🎭 3. よく見られる行動例(典型パターン)

行動具体例
😐 無言・黙りこむ明らかに不満そうでも「別に…」と返答し、沈黙で相手を困らせる
🕓 遅延・サボタージュ頼まれた仕事をわざとギリギリまでやらない/やっていないふり
🧠 忘却・記憶のふり大事なことを「忘れてた」と言うことで相手に不快感を与える
🗯 嫌味・皮肉直接文句を言わず、「すごいね、またミスして」などと遠回しに攻撃
🤷‍♂️ 被害者アピール自分は被害者だと主張し、罪悪感で相手を操作する
🙄 非協力的態度表向きは「やります」と言いながら協力せず、反発を態度で示す

🔄 4. 発達的背景と性格傾向

項目内容
⛓ 家庭環境厳格・抑圧的な家庭で怒りの表現が禁止された環境(例:怒ると否定される・罰される)
🎭 防衛機制反動形成・否認・回避・投影などの防衛を通じて怒りを抑圧し、間接的に出す
🧩 パーソナリティ傾向依存性・回避性・自己愛性・境界性パーソナリティの一側面として現れることも
🧠 発達障害傾向ASD・ADHD・HSPなど自己主張と感情調整が苦手な特性に由来するケースもある(ただし別概念)

🧠 5. 脳科学的視点

脳領域関連
扁桃体怒り・恐れ・羞恥などの情動処理に過敏な傾向がある
前頭前皮質(PFC)感情抑制・言語的表現のコントロールが過度に働き、直接的表出が困難に
帯状回・島皮質内臓感覚や「モヤモヤした不快感」の処理と関与している

⚠️ 6. 関係性における影響

相手への影響結果
不明確な敵意で疲弊相手が「何が悪いのかわからない」と混乱し、関係が悪化する
衝突回避 → 不満の蓄積表面的には平和だが、信頼関係が深まらない/ギクシャクする
感情のすり替え怒りを笑いや無関心に変換するため、本音が見えず対処不能になる

🛠️ 7. 改善・対処のためのアプローチ

📌 本人への支援

方法解説
感情認識訓練(心理教育)「怒っていい」という自他共に対する許可が重要
アサーション訓練怒りを「適切に伝える」スキルを学ぶ(YES/NOの言語化)
CBT(認知行動療法)「怒る=悪」というスキーマを書き換える
感情調整トレーニング内面的な緊張を和らげるための呼吸法・マインドフルネスなども有効

💬 周囲の対応法

ポイント解説
✅ 明確で直接的なコミュニケーション「察する」より「確認する」「言語化する」が効果的
✅ 一貫したルールと態度回避やサボタージュに対して、明確な境界設定が必要
✅ 被害者ゲームに巻き込まれない「かわいそうな自分」への共感が操作になる場合も → 冷静に対応

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