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精神医学

不眠に対する認知行動療法

不眠に対する認知行動療法(CBT-I:Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)は、不眠症の第一選択治療とされる科学的根拠に基づいた心理療法です。薬物療法に比べて副作用がなく、効果も持続しやすいため、世界的な標準治療として広く用いられています。


🔍 1. CBT-Iとは?

特徴内容
目的不眠を維持・悪化させる認知・行動・環境要因を修正する
対象慢性不眠症(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒)
方法認知療法+行動療法+生活調整+教育的支援

🧠 2. 不眠を悪化させる「悪循環モデル」

ストレス・悩み → 一時的な不眠

「眠れないと困る」などの不安

寝床での緊張/過剰な努力

眠れない体験の蓄積 → 条件づけられた不眠

睡眠を妨げる習慣(昼寝、長時間ベッド滞在) → 慢性化

CBT-Iではこの認知と行動のループを断ち切る。


🧰 3. CBT-Iの主要な構成要素(6本柱)

技法内容目的
睡眠衛生教育睡眠に悪影響を及ぼす生活習慣や環境の見直し誤った習慣の是正
刺激制御療法ベッドを「眠る場所」に再条件づけする条件づけられた不眠の解除
睡眠制限療法実際の睡眠時間に合わせてベッド滞在時間を制限睡眠圧(眠気)を高める
認知再構成法「眠れないと翌日ダメになる」などの不眠に関する思い込みを修正不安・誤解認知の緩和
リラクセーション法筋弛緩・呼吸法・イメージ訓練など身体・精神の過覚醒を抑制
睡眠日誌の記録入眠・覚醒時刻、睡眠の質・量などを記録客観的な睡眠パターンの把握と動機づけ

🧩 4. 各技法の詳細

① 睡眠衛生指導(Sleep Hygiene)

  • 寝る直前のカフェイン・アルコール・喫煙は避ける
  • 就寝前のブルーライト(スマホ)を制限
  • 一定の睡眠・起床リズムを保つ
  • ベッドは睡眠以外に使わない(読書やTVもNG)

② 刺激制御療法(Stimulus Control)

原則説明
眠くなってからベッドに入る習慣的入床を避ける
寝付けなければベッドから出る「ベッド=眠れない場所」という条件づけを防ぐ
ベッドは睡眠と性行為以外では使わない条件づけの解除
同じ時間に起床睡眠圧とリズムを整えるため

③ 睡眠制限療法(Sleep Restriction)

  • 実際の平均睡眠時間に合わせてベッド滞在時間を制限し、**睡眠効率(SE)**を高める
  • 徐々にベッド滞在時間を伸ばし、最適な睡眠時間を発見する

④ 認知再構成(Cognitive Restructuring)

誤った信念修正例
「7時間寝ないとだめ」「人によって必要な睡眠時間は違う」
「眠れなければ翌日失敗する」「多少眠れなくても案外動けることもある」
「眠れないのは自分のせいだ」「一時的な不眠は誰にでもある」

⑤ リラクセーション技法

  • 漸進的筋弛緩法(PMR):筋肉を意識的に緊張と弛緩させる
  • 腹式呼吸法:副交感神経を活性化
  • マインドフルネス瞑想:雑念の観察と流し

⑥ 睡眠日誌

内容記録例
就寝時間23:30
入眠時間0:30
覚醒回数2回
起床時間6:30
主観的満足度★★☆☆☆

🧭 5. CBT-Iの効果

項目効果
入眠時間短縮(10〜30分)
覚醒回数減少
睡眠の質向上
薬物依存低下(睡眠薬の離脱支援にも有効)
再発リスク低減(行動変容が持続する)

📘 6. CBT-Iが有効なタイプ・難しいタイプ

タイプCBT-Iの有効性
不安・心配で眠れない人非常に有効(認知再構成が鍵)
長時間ベッドにいて眠れない人有効(睡眠制限・刺激制御)
生活リズムが不規則な人有効(行動習慣の調整)
認知症・重度うつのある人単独では難しい(他の介入併用が必要)

🔚 まとめ:CBT-Iの本質とは?

  • 不眠は「眠れないことそのもの」ではなく、「眠れないことに対する反応(行動・思考)」によって悪化・慢性化する
  • CBT-Iは、不適応な反応を科学的に見直し、適切な睡眠習慣と考え方に再構築することを目指す
  • 薬に頼らずに「自分の力で眠れる体質」へと導く、再発予防にも強いアプローチ

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    1. ① 睡眠衛生指導(Sleep Hygiene)
    2. ② 刺激制御療法(Stimulus Control)
    3. ③ 睡眠制限療法(Sleep Restriction)
    4. ④ 認知再構成(Cognitive Restructuring)
    5. ⑤ リラクセーション技法
    6. ⑥ 睡眠日誌
  • 🧭 5. CBT-Iの効果
  • 📘 6. CBT-Iが有効なタイプ・難しいタイプ
  • 🔚 まとめ:CBT-Iの本質とは?
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