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精神医学

アルコール依存症の診断と治療

治療目標
1. 原則的「断酒」の「達成」とその「継続」
2. 重症は、明確な身体的・精神的・合併症を併発する場合、または深刻な家族・社会問題を有する場合、治療目標を「断酒」とする
3. 上記であっても、患者が「断酒」に応じない場合、まず「説得」を試みる、上手くいかない場合でも治療Drop Outを避ける、選択肢として「飲酒量・低減」とし、上手くいかない場合「断酒」に切り替える
4. 軽症で、明確な合併症を併発しない場合、患者が断酒を望む場合や断酒を要する事情のない場合、「飲酒量・低減」を目標としうる
5. 「飲酒量・低減」の目安は、アルコール量、男性;40g/日、女性;20g/日以下とする
6. 上記に関わらず、「飲酒量・低減」は健康・家族・社会問題の改善につながる

厚生労働省「健康日本21」「節度ある適度な飲酒量」=1日平均純アルコール約20g(2ドリンク)
「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」=男性40g以上、女性で20g以上
純アルコール量g = 酒量mL × 度数% / 100 × 0.8(比重)

適正飲酒10ヶ条
1. 談笑し楽しく飲むのが基本です
2. 食べながら 適量範囲でゆっくりと
3. 強い酒 薄めて飲むのがオススメです
4. つくろうよ 週に二日は休肝日
5. やめようよ きりなく長い飲み続け
6. 許さない 他人への無理強い・イッキ飲み
7. アルコール 薬と一緒は危険です
8. 飲まないで 妊娠中と授乳期は
9. 飲酒後の運動・入浴 要注意
10. 肝臓など 定期検査を忘れずに
アルコール健康医学協会

中核症状;飲酒行動のコントロール障害

長期・大量・飲酒を繰り返し、以前の価値ある行動;仕事・家庭・趣味などより、飲酒を優先する
飲酒・欲求(渇望)からコントロール障害となり、様々な問題を生じながら、終日飲酒・酩酊する
飲酒・継続により「耐性」、「離脱症状」;振戦、発汗など生ずる

精神依存;主観・客観的症状
身体依存;耐性・離脱

精神依存
主観的症状
1. 飲酒の抑制困難 2. 渇望 3. 飲酒中心
例;飲酒量・低減できない、耐え難い渇望、飲酒が日常・社会生活の中心
客観的症状
1. 飲酒量・時刻・機会の抑制困難 2. 多様性の喪失 3. 抑制の喪失
例;昼間から職場でこっそり飲酒、泥酔するまで飲酒、酩酊するための飲酒、心身・家族・社会問題など

身体依存
耐性;代謝・組織
離脱;早期;断酒数時間で出現、断酒数日間で消失、再飲酒で軽快→悪循環
      振戦・発汗、嘔気・嘔吐、頻脈・血圧上昇(交感神経・亢進症状)
      不眠・不安・焦燥、注意・集中困難、一過性の幻覚・妄想など
   後期;振戦せん妄(意識障害+幻覚・妄想、精神運動興奮)
      断酒後数日(3日・72時間以内)、数日後消退(3日・72時間ほど)
      ウェルニッケ・コルサコフ症候群(ビタミンB1欠乏症)、認知症・作話など

診断基準(ICD-10、改変)過去1年間、3/6以上あてはまること

1. 渇望お酒を飲みたくて仕方ない
2. 飲酒行動のコントロール不能飲酒行動をコントロールできない
3. 離脱症状飲まなないと離脱症状を生じる
4. 耐性増大酔うめの飲酒量が増加する
5. 飲酒中心の生活お酒を飲むため、日常・社会生活を犠牲にする
6. 有害使用による抑制喪失心身・家庭・社会問題を生じているのに飲酒を続ける
ICD-11から、飲酒行動のコントロール不能、離脱・耐性、飲酒中心の生活、2つ以上あてはまること


アルコールによる身体疾患のリスクを最も低下するのは、アルコール・ゼロ!

「断酒」が最良の治療であると伝える
「家族・同僚」らの期待に応える
「治療・共同体」の凝集性を高める
「自助組織(AA.断酒会)」を勧める
「強迫思考(断酒か死去か)」を活用する
「断酒」に応じない時は「飲酒量・低減」からと柔軟に対応する

「入院」は平均2-3ヶ月間
「自助組織」は毎週2時間
「断酒補助薬」を利用する

断酒の方法
・減酒宣言を行う
・減酒日記を付ける
・居酒屋を素通りする
・アルコール売場に近寄らない
・飲み会を断る
・飲み会でお茶を飲む
・断酒の達成感を覚える
・熟睡できる・目覚め良い
・気分が良い・身体が軽い
・お金が溜まる・時間が増える
・家族の機嫌が良くなる

飲酒量・低減の方法
・朝昼から飲まない
・買い置きしない
・食べながら飲む
・話しながら飲む
・味わい飲む
・定期受診・検査
・休肝日を作る
・低濃度のアルコールへ変える
・チェイサーをはさむ

「自助組織」とは、悩み苦しむ人々が、互いに助け、励まし合い、生きていくことを目標とする「治療共同体」、「集団精神療法」の機序により、個人で取り組むより、回復が促進すると考えられている

断酒会;公益社団法人・全日本断酒連盟
・会員8000人・家族会員5000人
・断酒会数600、医療施設・交通刑務所内にもあり
・1950年代、AAにならい、東京・高知に結成され、全国展開した
・例会を中心とし、本人・家族が「酒害」を語り、皆で聴く

AA. Alcoholics Anonymous、無名のアルコール依存症者
・Member 5700人
・Group 580
・1975年、日本へ進出
・飲酒しないで生きること、他者の手助けをすること、ただし、あらゆる宗教・政党・組織・団体にも縛られない

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