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精神医学

自我親和的 ↔️ 自我異和的

精神・行動の障害を診断・治療する上で、重要となる概念に「自我親和的 ↔️ 自我異和的」があります。「自我親和的」とは、障害もしくは状態・症状などが、本人に馴染んでおり、時に心地良くさえ感じることです。例えば、自閉症者の「こだわり(固執)」は、本人が安心するための儀式のような行動であり、困っていません。依存症者の各種依存行動は、快楽までもたらす時もあり、本人は全く困っていません。

このような方々が精神医療機関を訪れるのは、その行動により周囲の人々が困り、本人へ診療を受けるよう強制する時です。または、周囲の人々と軋轢を生じ、本人が「二次障害」として、うつ状態に陥った時などです。依存症者は「底つき体験」といい、依存行動により生活や仕事が立ち行かなくなった時、ようやく診療を求めます。

「自我異和的」とは、障害もしくは状態・症状などが、本人の苦痛となり、取り除きたいと感じていることです。「不眠・不安・うつ」などは当然、苦痛を覚える症状のため、治療を求め受診します。強迫症者の「強迫観念・強迫行為」は、自閉症者の「こだわり」に似ていますが、強迫症者は「止めたいけれど、止められない」という苦痛を覚えています。このため、改善を求め受診します。

このように、精神・行動の障害を「自我親和的 ↔️ 自我異和的」から分類すると、受療行動・治療継続などにおいて、正反対であることが分かるでしょう。問題となるのは「自我親和的」な障害・状態・症状が周囲を困らせている場合です。本人は問題となる行動から安心や快楽まで覚えているため、これを止めさせるには、周囲の人々が繰り返し説得するか、本人が受診せざるをえない窮地に陥る(底つき)まで待つかの二択となります。

最近は特に依存症者において、底つきによる損害が大きいため、早期から様々な働きかけを行い、本人の治療意欲を高める「動機づけ面接」という手法が提唱されています。これは時間と労力を要するため、根気強さを求められますが、本人と周囲の人々を思えば、行うべきでしょう。この手法は、やはり問題意識や危機感などを自覚しない、生活習慣病者や処遇困難者にも有用です。

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