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病院や医者の見分け方

とかく医者との関係は難しいものです。そもそも、病院や診療所は都会でこそようやく増えてきましたが、さすがに喫茶店や洋服店ほど一般的ではありません。ましてや地方に行くと、町や村に一つか二つというところもあります。従って、どうしても選択の余地は少なく、不満足ながら通院しなければならないこともあるでしょう。また病院や医者の質も分からなく、最近でこそランキング表やお勧めの病院案内なども登場してきましたが、果たして本当に良いのかどうか分からないというのが実情と思います。私自身も自分や家族が病気になった時、何処へ受診するか迷ったことが何度もあります。そこで今回は病院や医者の見分け方についてお話し致します。まずは病院や診療所について、その長所と短所を一言でまとめてみましょう。

      長所      短所
大学病院: 先端的医療 ・ 大混雑する
総合病院: 標準的医療 ・ 特色はない
診療所等: 特徴的医療 ・ 個人差あり 

といったところです。国公立か私立かによっても多少は異なります。これは役所と会社の違いと同じようなものです。私は上記、全ての種類の病院に勤務いたしましたが、やはり勤務先によって多少、診療が異なったことは正直ありました。特に民間は会社やお店と同じようにその病院の方針というものがありますから、その病院に応じた診療を行います。但し、医者としての基本姿勢はいつでも変りありません。それはまず第一に「患者さんとご家族の健康と幸福を考えて診療する」ということ、いわゆる「医は仁術である」ということです。この点が商業的なサービス業とは最も異なるところです。この原則を押さえた上で、サービス業としての特色も加えてまいりたいものです。ともすると国公立の機関ではその性質から「お役所の対応」になってしまうことがありますから、良い意味でのサービス・ホスピタリティを意識することが大事でしょう。

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次に医者についてお話いたします。医者の世界はドラマや小説でよくご存知でしょうが、内容によっては全くのフィクションであったり、デフォルメであったりもしますから、実際の医者の意見をご紹介いたしましょう。まずは前回ご紹介した「ドクハラ」の提唱者、元癌研究会付属病院の医師だった土屋繁裕先生が「ドクハラ医師を見抜くチェックポイント」について述べられています。

①あいさつをするか
②威張らないか
③患者から目をそらさないか
④怒らないか
⑤治療を急がないか、薬が多くないか
⑥知ったかぶりをしないか
⑦専門用語を羅列しないか
⑧手術や治療の自慢話をしないか
⑨恩着せがましくないか
⑩説明なしに検査をしないか 

普通の会社やお店では考えられないような話ですね。しかしこれがありがちな医者の現状なのかもしれません。いわゆる「お医者様」の結果でしょうか。患者の立場としては可能な限りこのような医者を回避して、本当に信頼できる医者にかかりたいものです。それにはその医者がどのような性格の人物なのか把握する必要があります。そこで、私がかつて勤務していた長野県・佐久総合病院の内科医で、芥川賞作家でもある、南木佳士先生がご自身の著書「医者という仕事」朝日文芸文庫、29項、に書かれていた医者の分類をご紹介いたしましょう。


①医学の進歩を無邪気に信じ、進歩することは良いことだと信じきって感傷を廃し、研究論文を書きまくって狭いギルド社会の中で出世するタイプ
②とりあえずマニュアル通りのことをやって、患者には深入りせず、医学の進歩とは無関係の論文で博士号を取り、中流生活者としての基礎を築く者
③最先端の医療では捉え切れない、人間の問題に興味を持ち、地域の老人医療などに取り組む連中

①が全く悪い医者で、③がとても良い医者に表現されていますね。一面では真実かもしれませんが、必ずしもそうとは言い切れません。医学・医療の進歩のために研究は必要ですし、それに携わることは並大抵な努力で続けられるものではありません。特に一流の研究医と呼ばれる方は大抵、個人的な欲求をかなり犠牲にして純粋に研究へ精進しています。一方、地域医療や老人医療に貢献されている医者に素晴らしい方が多いのは確かですが、中には自分が中心となって活躍することに喜びを見出している自己愛的な人間もいます。従って「そのような傾向がある」というくらいに捉えていただくのが良いと思います。次は精神科医に関して、防衛医大・精神科の野村総一郎教授が「精神医学」(医学書院)の巻頭言で書かれていた精神科医のタイプ分けをご紹介いたします。

これも面白く極端に説明されていますが、当然、全てこの通りではありません。総合病院で丁寧な診療をされている医者は大勢いますし、大学病院で患者さん中心の臨床を行っている医者も大勢います。従って、「病院によってはこのような医者になりがちである」と解釈するべきでしょう。その医者の性格は一般の方々と同じように、元々の素質と環境との相互作用によって形成されるからです。そしてこれは患者さん方へというよりも、これからの若い精神科医へ向けた警鐘になるでしょう。

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従って、以上のような傾向は指摘されるとしても、結局、その医者の人間性によるのではないかと思います。すなわち、医学部へ入学するまでの生れ育ち、大学の学生生活、卒後教育・研修、そしてあらゆる人生経験が影響するでしょう。医者としての知識や経験もさることながら、一人の人間としてどのような人生を送り、送ろうとしているかが影響するということです。患者の立場としてはこのような背景を多少なりとも理解しながら、本当に信頼できる医者を探してまいりたいものです。

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